【簡単解説】IB ESS の科目内容と内部評価・外部評価

ESS

本ページでは IB ESS の科目内容と内部評価、外部評価について超わかりやすく解説していきます。

この記事を読めば誰でも一瞬で ESS で何を学び、評価がどのようにして決まるのか、何に向けて対策すればいいのかが分かります。

ぜひ最後まで読んでみてください!

IB は2023年に理科系科目の新しいシラバスを発表しました

これによって、授業で扱う内容や試験内容に変更が生じます

新しいシラバスに基づいた授業内容や試験内容についてはこちらを確認してみてください!

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ESS で学ぶこと

はじめに、ESS とは Environmental Systems and Societies の略称です。

そしてその名の通り自然環境人間社会について学びます。

ESS は現在 SL しかないため、みんな学ぶ範囲は同じです。

授業で学ぶ8つのトピックとその中で学ぶ内容の例を紹介します。

単元内容の例
Foundations of environmental systems and societies環境に対する異なる価値観、生態系、平衡、持続可能性、環境汚染
Ecosystems and ecology生物の種、人口、エネルギーの流れ、バイオーム、実験方法
Biodiversity and conservation生物多様性の始まり、迫る危機、多様性を守る方法
Water, food production systems and society水の生態系、淡水、水産物、水質汚染
Soil systems and society土壌生態系、陸産物、土壌劣化と保存
Atmospheric systems and society大気、オゾン、霧、酸性沈着
Climate change and energy production気候変動、エネルギーの選択肢と確保
Human systems and resource use人口変動、資源、廃棄物

科学的な内容から、社会学的な内容まであります

基本的には教科書を用いてこれらの内容について勉強していきます。

また、実験やフィールドワークを通して学ぶ授業もあります。

環境問題(地球温暖化、水質汚染、大気汚染、etc.)や生物学的な内容(種、生態系、etc.)に関しては、日常的に見るニュースや中学校までの学びなどによってすでに知識として身についている内容もあります

そのため、学んでいる内容の主旨を見失うことがほかの科目に比べて少なく、抵抗感を感じにくい科目だと思います。

そんな ESS という科目には2つの特徴的な点があります。

  • すべての章が互いに関係している
  • 実社会にある例を重視する

これらは ESS の授業を受ける中でとても大切な点であり、テストで高得点を取るためにも大切な要素です。

全ての章が互いに関係している

ESS ではほかの科目に比べて、それぞれの章が互いに強く関係してます

一つの章を理解するためにそれ以外の章で学ぶ知識がとても大切です

例えば、気候変動について考えてみましょう。

気候変動は7章で取り上げられていますが、これを引き起こす要因は8章で学ぶ人口増加であったり、6章のオゾン層破壊による植物へのダメージ、3章の森林伐採などたくさん挙げることができます。

また、気候変動は1章の人々の異なる価値観とも関係があり、2~5章の生態系に影響を与えます。

このように一つの話題でも8つの章全体にわたって因果関係のつながりを持っているのです。

この特徴はテストにもあらわれます。

テストで出題される問題は一つの章で学んだ内容だけでは点数をとることができません

8つの章の観点から考え、アプローチすることで点数をとることができるのです。

実社会にある例を重視する

ESS では実社会の事例をとても重視します

教科書でもいくつか環境や社会に大きな影響を与えた実例が取り上げられています。

例えば、福島第一原子力発電所の事故が教科書には取り上げられています。

これは、人々の原子力エネルギーに対する考えに大きく影響を与えた出来事として紹介されています。

ほかにも、環境に関係ある政策や絶滅してしまった種など、様々な事例について学びます。

僕は、最初はこれら実例の重要さに気づかず、教科書に記載されていた例をほとんど無視してしまいました。

しかし、このような実例は ESS のテスト(主に Paper 2)で最も求められるものであるため、絶対に怠らないようにするべきです!

教科書に記載されているものだけでなく、ネットで検索したり、ニュースに着目したりすることで、自分の中の引き出しを増やしておきましょう。

ESS での3つの評価

ESS の成績は2つの試験(外部評価)1つのレポート(内部評価)で決まります。

外部評価Paper1
Paper2
内部評価Internal Assessment

以降はこれら3つの特徴と点数の比重について解説します。

ESS の最終試験に向けたおすすめの勉強法についてこちらの記事で紹介しているのでぜひ確認してみでください!

Paper1の特徴

ESS の Paper1の試験内容は以下の通りです。

Paper1
試験時間1時間
試験形式資料問題
点数(満点)35点
比重25%
電卓使用可

ESS の Paper1は画像・グラフ・地図・説明文などが記載されたデータブックレットを用いながら問題を解く特徴的な試験です。

試験では解答冊子とデータブックレットの2つが渡されます。

データブックレットにはある特定の場所についての情報が載っています。

簡単な例を挙げると、

気候、地形、生息している動物、植生、人口、行われている商業、政策、…

などです。

試験問題はこのデータブックレットに沿って出題されます。

受験者は与えられるこれらの情報と授業で学んだ知識を用いて問題を解いていきます。

問題の大半は配点が1~3点のものですが、最後に6点分の記述問題が出題されます。

最後の問題は時間がかかるため、時間配分に気を付ける必要があります。

個人的には15分ほど残すことができれば十分だと思います。

Paper1で多く出題される配点の小さい問題で点数を確実に取るために意識するべき点についてはこちらで解説しています!

Paper2の特徴

ESS の Paper2の試験内容は以下の通りです。

Paper1
試験時間2時間
試験形式資料・記述問題 / 大問選択式(セクション B)
セクションA:グラフ・図の分析問題
B:長文記述問題
点数(満点)50点
比重65%
電卓使用可

この試験は Paper1の試験よりも長文の記述が多く、生徒間ではライティング試験とも呼ばれています。

セクション A では3つの図(グラフ)が提示され、それぞれに応じた問題が出題されます。

一問当たりの配点はだいたい1~3点で、Paper1に似た問題が出題されます。

しかし、この試験の本命はセクション B です。

セクション B では4つの大問から2つを選択して解きます

セクション B が長文の記述が求められる部分であり、セクション B で点数が取れなければ ESS の成績も下がってしまいます。

記述問題のため配点も高いです。

セクション B の大問はそれぞれ3つの問題から構成されています。

一問目の配点が4点

二問目の配点が7点

三問目の配点が9点

の合計20点です。

そしてこの大問を2つも解かなければいけないのです。

配点が大きいということはそれだけ要点を書くことが求められているということなので、7点問題や9点問題は特に記述量が多いです。

そのため、セクション B は特に時間が必要となります。

僕の場合は、

セクション A を45分で解き、セクション B に75分使うようにしました。

それでも少し時間が足りないと感じました。

セクション B には可能な限り多くの時間をかけたいため、セクション A はなるべく早く解きたいです。

ESS Paper2のセクション B のようなライティング問題で点数を取るために意識するべき点についてはこちらで解説しています!

Internal Assessment の特徴

ESS の Internal Assessment(IA)の最終スコアでの比重は25%です。

ESS IA は、化学・物理・生物などの他の理系科目と同じように、学習した範囲内で自分の興味ある分野について調査してレポートをまとめます

基本的には自分で実験を組み立ててデータを取って分析する、といった IA を行う人が多いと思います。

「自分で実験方法を考えるの難しすぎ」と思う人もいると思います。

しかし、必ずしもすべてオリジナルである必要はありません。

すでにある研究を参考にして、それに少し独自性を加えるだけでも大丈夫です。

僕の ESS の IA は、

「砂・シルト・粘土の割合の違いによって土壌の透水性はどのように変化するのか」

といった内容で行いました。

ESS IA の簡単な評価項目はこんな感じです。

Identifying the contextPlanningResults, analysis and conclusionDiscussion and evaluationApplicationsCommunication
00
1~21~21~21~211
3~43~43~43~422
5~65~65~65~633
30点満点

それぞれの評価項目について簡単に説明します。

Identifying the context・レポートは関連性、一貫性があり、焦点を絞ったリサーチクエスチョン(RQ)を述べていること。
・RQ の文脈となる、関連性のある環境問題(地域的またはグローバルないずれか)について議論していること。
・環境問題(地域的またはグローバルないずれか)と RQ の間の関連性を説明していること。
Planning・レポートは、RQ に適した繰り返し可能な方法を設計し、十分な関連性のあるデータの収集を可能にしていること。
・使用されたデータの収集方法の選択を正当化していること。
・該当する場合、リスク評価と倫理的考慮事項について説明していること。
Results, analysis and conclusion・レポートは、適切にすべての関連する定量的および/または定性的データの図表やグラフを作成していること。
・データを正しくかつ完全に分析し、すべての関連するパターンが表示されるようにしていること。
・データ内の傾向、パターン、または関係性を解釈し、RQ に妥当な結論が導かれるようにしていること。
Discussion and evaluation・レポートは、環境問題の文脈で結論を評価していること。
・使用された方法における強み、弱点、制限について議論していること。
・大きな影響を与える一つ以上の重要な弱点を解決するための修正と、さらなる研究の領域を示唆していること。
Applications・レポートは、研究の結果に基づいて、文脈で議論された環境問題に対する一つの潜在的な応用または解決策を正当化していること。
・この解決策の関連する強み、弱点、制限を評価していること。
Communication・レポートは適切な用語を一貫して使用し、簡潔である。
・レポートは論理的で一貫性があり、構成が適切である。

この評価項目の具体的な内容は教科書の9章に書かれています。

評価項目にはレポートに必要な要素がすべて示されています

しっかりと読んで、自分のレポートがそれらを満たしていれば高得点は確実に取れます。

ESS IA における重要な要素に関するこれらの記事も確認してみてください!

先に示した簡単な評価項目からも分かるように、IA では実験の内容や結果よりも自分の考察の方が評価されます

実験の結果が予想と大きく違ったり、うまく行かなかったりしても、「なぜそうなったのか」や「どのような改善点があるか」など、深い考察ができれば評価はもらえます。

最後に

これで IB ESS の科目内容、評価について大切なところはすべて説明しました。

今後、それぞれのテストに応じた勉強方法や点数を伸ばすコツについても記事を書いていくのでその時は確認してみてください!

では、また別の記事でお会いしましょう!

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