本ページでは IB ESS の IA(内部評価)で高得点を取るために必要な要素について紹介します。
僕が行った ESS IA の例を挙げながらわかりやすく解説していきます。
(ESS IA の評価は最終スコアで明記されていないため、必ずしも僕の IA が良かったとも限りません)
ぜひ最後まで読んでみてください!
その前に、ESS IA が何なのかについて知りたい方はこちらの記事でわかりやすく説明しているのでぜひご覧ください!
はじめに
ESS の IA では一つのテーマについてのレポートをまとめます。
IA 良い点数をとるためには「面白いデータがとれないといけない」や「新しいことをやらないといけない」と考えている方が多くいると思います。
僕自身もそうでした。
しかし、それらが必ずしも高い評価につながるわけではありません。
ESS IA には全部で6つの評価項目があります。
Identifying the context | Planning | Results, analysis and conclusion | Discussion and evaluation | Applications | Communication |
---|---|---|---|---|---|
0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
1~2 | 1~2 | 1~2 | 1~2 | 1 | 1 |
3~4 | 3~4 | 3~4 | 3~4 | 2 | 2 |
5~6 | 5~6 | 5~6 | 5~6 | 3 | 3 |
本ページでは、各評価項目で必要な要素を簡単にまとめ、意識するべき点について自分の行った IA の例も交えながら解説していきます。
評価項目1
評価項目1は IA 全体の20%分の配点です。
ここで点数をとるために必要な3つの要素がこれらです。
特定の環境/社会問題についての議論
ESS は自然環境と人間社会の学問です。
そのため、研究も環境/社会問題と関係を持たせる必要があります。
IA では、はじめに特定の環境関連の問題をとりあげます。
そして、とりあげた問題をもとにリサーチクエスチョン(RQ)を作ります。
はじめは、自分の少しでも興味のある問題を選択してみましょう。
環境/社会問題は世界的なものでなくても、より身近なものでも大丈夫です。
良い環境/社会問題が見つかったら、どのような問題であり、なぜ問題なのかの議論を行います。
これは、IA の研究の本題に入る前の背景情報として紹介すると良いです。
ここで選択した問題が IA の核となり、レポートの書きやすさにもかかわってくるのでとても大切なポイントです。
乾燥地域における水不足
焦点の絞られたリサーチクエスチョン(RQ)
環境/社会問題が決まったら、次は良いリサーチクエスチョン(RQ)を決めます。
まず、リサーチクエスチョン(RQ)とは何でしょうか?
RQ は簡単には研究テーマとなる問いです。
これは、どの研究においても欠かせないものです。
ESS IA では、先に選択した環境・社会問題に合わせて RQ を選択すると良いでしょう。
そんな当たり前のように提示する RQ にも良いものと悪いものがあります。
良い RQ はずばり、焦点の絞られた、具体的な問いです。
これは難しいことではありません。
実際の僕の RQ をもとに簡単に良い例と悪い例を挙げてみます。
前者の問いの方がより具体性があることが分かると思います。(実際はもっと絞った問いでもいいかも)
IA では何かすごい大きなことを研究する必要はなく、むしろ焦点の絞られたテーマの方が評価されます。
植物について調べたいときは、特定の植物の種類に絞ったり
水質について調べたいときは、水中の特定の物質に注目したり
ということを意識しましょう。
また、RQ を立てる際は
「〇〇と〇〇の関係はあるか」のように
「はい」か「いいえ」で答えられる問いではなく
「〇〇と〇〇の関係性はどのようなものか」のように
「はい」「いいえ」で片づけられない形式の問いにすることも意識すると良いです。
とりあげた環境/社会問題と RQ の関係性の説明
良い RQ を立てることができたら、最初に決めた環境/社会問題と RQ との関連性の説明をします。
環境/社会問題 ⇒ RQ
といった順番で考えていれば、2つのつながりを説明するのは簡単なことです。
評価項目2
評価項目2は IA 全体の20%分の配点です。
ここで点数をとるために必要な3つの要素がこれらです。
十分なデータが得られる研究方法
まず、ここで評価されるポイントが研究方法です。
点数をとるためには、RQ を調査するための十分なデータが得られる研究方法を考える必要があります。
大切なのは、その研究方法が RQ の答えを得るために適切な方法なのかと十分な量のデータが得られるのかということです。
RQ に適した研究方法というのはあまり意識せずとも満たすことができる思います。
十分なデータの確保をするためには、一回の手間が大きい実験などは避け、繰り返し行うことでたくさんのデータを得られる比較的簡単な実験を考えると良いでしょう。
こうすれば、後にデータの考察もしやすいですし、繰り返し行って得たデータの平均をとることで正確性の高いデータをとることにもつながります。
研究(実験)方法の説明
そして、レポートの中ではもちろん研究(実験)方法の説明が必要です。
ここで大切なのは、説明を見た人が真似ることができるくらいわかりやすくすることです。
自分自身では理解できるように思える説明でも、他の人にとっては難しい可能性があるので、詳細なところまで説明するようにするべきです。
特に大切なのが変数の説明です。
ESS では Variables として学ぶと思います。
変数は主に4つあります。
これらの変数が自分の研究において何なのかを説明する必要があります。
これ以外にも、
どのような実験器具を用いたか・研究の手順・研究の工夫点
も示すと良いです。
また、その研究方法を選択した理由も含める必要があります。
誰でも書くことができる要素でありますが、点数をとるために求められている大切な要素です。
- 独立変数
- 砂・シルト・粘土の質量パーセント(%)
- 従属変数
- 土を浸透する水の量(g)
- 制御変数
- 土に注ぐ水の量(100 g)
- 計測時間(2 分)
- 土全体の質量(30 g)
- 均一に混合する(可能な限り)
- 非制御変数
- 土に水を注ぐ勢い
- 実験室の気温・湿度
研究に潜むリスクや倫理的問題の考察
そして、この評価項目で最後に必要なのが、研究に潜むリスクや倫理的問題の考察です。
リスクは研究中に起こりうる事故などの考えられる危険性の事です。
例えば、有害物質を使用したりした場合はそれが与えうる影響などを細かく説明します。
倫理的問題は生物の命に関わるものです。
例えば、研究で昆虫の採取を行う場合に、昆虫を弱らせる、あるいは死なせてしまうといったことがないように工夫しているかを説明します。(植物に関しても同じです)
このような観点から自分の研究を評価するといったことが求められます。
もし、どちらも見当たらなければ、「リスクと倫理的問題はありません」と書けば大丈夫です。
リスク:
シルトや粘土などの細かい粒子を扱う際に粉塵を起こしてしまい、目や呼吸器を刺激してしまう可能性がある。解決方法としては、実験用ゴーグルやマスクの着用が挙げられる。
倫理的問題:
倫理的問題はない。
評価項目3
評価項目1は IA 全体の20%分の配点です。
ここで点数をとるために必要な3つの要素がこれらです。
誰もが分かるようにデータを記録・提示
これは、研究で得られた定量的、あるいは定性的なデータを読み手が簡単にわかるように記録することです。
見やすいように図や表、グラフにデータをまとめたり、読み手にやさしい研究レポートを目指せば大丈夫だと思います。
また、データのタイトルやラベリング、グラフの場合は縦軸や横軸のタイトルなど、読み手が簡単にデータを読み取れるように提示する必要があります。
データの分析と説明
図や表、グラフにまとめたデータから読み取れる傾向や相関関係などを説明しましょう。
僕はこのパートがレポート全体で最も長い部分でした。
できるだけ深く、まんべんなく考察する必要があります。
考察が少ししか書けない場合は、グラフの独立変数と従属変数を変えていろいろな種類のグラフを作ってみると意外と考察する点が増えることがあります。(自分自身もこの方法を使いました)
また、理系科目の IA でよく求められるもので、誤差評価があります。
データで考えられる誤差を計算して、下の図のようにグラフに誤差バーとして表示したり、誤差を考慮することで考えられるグラフの形や傾きを考察したりと、誤差を考えるだけでもデータの分析が広がります。
IA における誤差評価の重要性についてはこちらでも解説しているのでぜひ確認してみてください!
結論
最後に必要なのが結論です。
ここまでのデータを分析して導かれることをまとめます。
結論は、最初に設定した RQ に対する答えです。
必ずしも研究がすべてうまく行くわけではないので、自分の予想と異なった結果でも大丈夫です。
そのような点もしっかりと結論に組み込みましょう。
評価項目4
評価項目4は IA 全体の20%分の配点です。
ここで点数をとるために必要な2つの要素がこれらです。
結論と環境/社会問題の関係の説明・評価
ここでは、先ほど導いた結論を、自分の取り上げた環境/社会問題の文脈で評価します。
この中で、結論と環境/社会問題の間につながりがあることを示す必要があります。
これは、評価項目1で RQ と環境/社会問題のつながりを説明したものと似ているので、簡単に説明することができると思います。
また、これに加えて、実社会の例を挙げて比較することで、自分の導いた結論がどれほど正当であるかを評価するのもいいです。
研究の評価と改善する方法
研究の評価では、自分の研究の強みと弱みをとりあげましょう。
これはどんなことでもいいです。
「電子機器を用いたため正確な値を得られた」「効率の悪い実験方法だった」・・・
などたくさん挙げられると思います。
そして、自分の研究をより良くするためにどのように改善できるかも記しましょう。
そのような点もしっかりと結論に組み込みましょう。
研究の長所・短所に加えて、僕の場合は誤差評価も行いました。
- 電子機器の値の誤差(電子機器は最小単位の2分の1の値が誤差となる)
- 非制御変数によって生じた可能性のある誤差
などについて言及しました。
評価項目5
評価項目4は IA 全体の10%分の配点です。
ここで点数をとるために必要な1つの要素がこれらです。
取り上げた環境/社会問題の解決方法の提案
ここでは、自分の研究によって得られた結論から、はじめに取り上げた環境/社会問題を解決する方法を1つ提示します。
これは、確実に解決できる方法でなくても、少しでも可能性があると思えるようなことであれば大丈夫です。
大切なのは、その方法がどれほど効果的で、どのような問題点があるか評価することです。
評価項目6
評価項目6は IA 全体の10%分の配点です。
ここで点数をとるために必要な1つの要素がこれらです。
ちゃんとしたレポートの作成(細かな要素)
「分かりやすいレポートの作成」と簡単にまとめてしまいましたが、この評価項目は本当に自分自身で判断しにくいです。
まずは、形としてしっかりとレポートとなっていることが大切です。
教科書には記載されていませんが、基本的には、
タイトルページ・目次・サブタイトル・参考文献・ページ番号
を含めば、形式としては大丈夫だと思います。
あとは、論理的で筋の通った内容が求められます。
これに関しては自分自身で評価するのに加えて、他の人が理解できるか読んでもらうことで確認するのもいいと思います。
最後に
これで IB ESS IA で点を取るために大切なところはすべて説明しました。
今後も ESS やその他の科目のテストや IA のコツについての記事を書いていくのでその時は確認してみてください!
では、また別の記事でお会いしましょう!