【簡単解説】IB 日本語 A:言語と文学 の科目内容と内部評価・外部評価

IB

本ページでは IB 日本語 A の科目内容と内部評価、外部評価について超わかりやすく解説していきます。

日本語 A にも何種類かありますが、今回は僕も受講した 日本語 A:言語と文学 について説明します。

この記事を読めば誰でも 日本語 A で何を学び、評価がどのようにして決まるのか、何に向けて対策すればいいのかが分かります。

また、日本語 A の科目内容は SL と HL で少し異なるので、その違いについても簡単に説明していきます

ぜひ最後まで読んでみてください!

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日本語 A で学ぶこと

日本語 A:言語と文学 では大きく2つを取り上げます

文学作品

非文学作品

文学作品は、文学的技法や芸術表現を含む作品の事を主に指します。(小説、詩…)

非文学作品は、情報や知識を伝達することが目的であるメディアの事を指します。(新聞記事、ポスター広告…)

これら二つの種類の作品を分析することが主な授業の内容です

授業で学ぶ内容は、日本語 A の評価に関わる Paper1、Paper2、個人口述にも大きく関わります。

文学作品と非文学作品とでは分析する際に着目する点が異なるので、それぞれどのような点に着目することを学ぶのか簡単に解説します。

文学作品

日本語 A:言語と文学 ではいくつかの文学作品(小説、詩)を取り扱います。

SL の生徒は4冊、HL の生徒は6冊扱います

これらの本を各自で読んで、授業では文法的技法や作品と社会的背景の関連などの分析を行います。

IB の科目は全般、グローバルイシュー人類共通の問題をとても重視し、日本語 A でもグローバルイシューに触れることが常に求められます。

そのため、特に社会的背景との関連に関する分析は大切です。

どの作品についても、その作品が描かれた時代の社会背景、作者の背景情報、そして作品の舞台となる時代背景などに着目します。

そして、その時代に見られるグローバルイシューと作品との関係について議論することが多いです。

このような文学作品を分析する力は、Paper2と個人口述を行う際に必要となります。

そのため、授業では文学作品の分析をみんなで行うのと同時に、Paper2や個人口述の練習を行う時間も取ってくれます

(僕が IB で学んでいた年は、コロナウイルスの影響によって Paper2が免除されたため、授業内では Paper1と個人口述の練習のみ行いました)

非文学作品

授業では様々な非文学作品を取り扱います。

文学作品と違って、非文学作品は短時間で読み切ることができるため、新聞記事やポスター広告、CM の原稿、スピーチ原稿などたくさんの種類の作品を扱います。

僕の場合は、特に広告を取り扱うことが多かったです。

非文学作品の分析は、テクストタイプ(記事、広告…などの様々なテクストの種類)によって着目する点が異なります

しかし、どのテクストにおいても共通して触れるべきポイントが4つあります

  • テクストタイプ
  • 作者(出版社)
  • 目的

これらは、非文学作品の分析を行ううえで欠かせないポイントです。

これをもとに、それぞれの非文学作品が取り上げるグローバルイシューについて触れ、さらに作品の中に見られる工夫点を分析します。

また、最もよく(試験でも)取り上げられるテクストタイプが記事と広告だと個人的には感じます。

これらに共通して分析が必要な点が2つあります

  • 視覚表現(色彩、レイアウト…)
  • 言語表現(文章の内容、表現の工夫…)

これら合計6つが、日本語 A で非文学作品の分析について学ぶ中で最も大切で基本的な要素であると思います。

このような非文学作品を分析する力は、Paper1と個人口述を行う際に必要となります。

そして、授業では Paper1の練習を兼ねて非文学作品を取り扱います

練習の中で、より細かな分析の着眼点などを身に着けていくことができます。

日本語 A:言語と文学 での評価

日本語 A:言語と文学 の成績は

SLの場合2つの外部評価と1つの内部評価

HLの場合3つの外部評価と1つの内部評価

で決まります。

外部評価Paper1
Paper2
HL 小論文(HL のみ)
内部評価個人口述

以降はこれら4つの特徴と点数の比重について解説します。

Paper1の特徴

日本語 A:言語と文学 の Paper1の試験内容は以下の通りです。

Paper1
試験時間SL:1時間15分
HL:2時間15分
試験形式小論文形式
点数(満点)SL:20点
HL:20点
比重35%

SL と HL のどちらも、最初に二つの初見の非文学テクストが提示されます。

SL の場合は二つの中から一つを選択して分析を行います。

HL の場合は提示された二つの両方の分析を行う必要があります。

自分の経験上(過去問などを見る限り)二つのテクストは、

言語表現の強いテクスト

視覚表現の強いテクスト

の組み合わせです。

言語表現が強いテクストは、新聞記事やネット記事などの文章の割合が多いものです。

視覚表現が強いテクストは、ポスター広告、新聞広告などの画像やデザインの割合が多いものです。

僕は SL で毎回視覚表現が強い方のテクストを選択してました。個人的に、画像やデザインなどの視覚情報の方が、色や描かれているもの、配置など着眼点が多くて分析しやすいと感じたからです。

論文の内容は、テクストの中に見られる工夫点(字の大きさ、レイアウト、色調、言葉遣い、etc.)がもたらす効果などについて書きます。

一つのテクストにつきだいたい原稿用紙4ページ分ほど書けるとちょうどいいです。

評価項目はクライテリア A~D の4つあります

Criterion A
(理解と解釈)
Criterion B
(分析と評価)
Criterion C
(焦点と構成)
Criterion D
(言語)

それぞれの評価項目について簡単に説明します。

Criterion A
(理解と解釈)
・回答がテクストの文字通りの意味についての徹底的かつ洞察力のある理解を示していること。
・テクストのより大きな意味や微妙なニュアンスについて、説得力のある洞察に基づいた解釈があること。
・テクストへの参照は適切に選ばれており、受験者のアイデアを効果的にサポートしています。
Criterion B
(分析と評価)
・回答がテクストの特徴や作者の選択に対する洞察に満ちた、説得力のある分析を示していること。
・そのような特徴や選択が意味を形作る方法について非常に良い評価があること。
Criterion C
(焦点と構成)
・アイデアの提示が効果的に構成されており、一貫性があること。
・分析はよく焦点を絞っていること。
Criterion D
(言語)
・言語は非常に明確で効果的であり、注意深く選ばれており、正確な文法、語彙、文章構造を持っていること。
・文章とスタイルは課題に効果的で適切であること。

日本語 A:言語と文学 Paper1で意識すると良い文章の構成についてこちらの記事で詳しく解説しているのでぜひ確認してみてください!

Paper2の特徴

2020年~2022年の試験ではコロナウイルスの影響によって 日本語 A:言語と文学 の Paper2が免除されたため、以下の情報は少々異なる可能性があります。必ず自分でも確認してみてください。

Paper2の試験内容は SL と HL で同じです。(比重以外)

Paper2
試験時間1時間45分
試験形式小論文形式 / 大問選択式
点数(満点)30点
比重SL:35%
HL:25%

この試験では、授業で扱ってきた作品から2つを選択して設問に沿って比較論文を書いていきます

試験では4つの大問が提示され、受験者はその中から1つを選択して解いていきます。

評価項目はこんな感じです。

Criterion A
(知識、理解、解釈)
Criterion B
(分析と評価)
Criterion C
(焦点と構成)
Criterion D
(言語)
1~21~2
3~43~4
5~65~6
7~87~8
9~109~10

それぞれの評価項目について簡単に説明します。

Criterion A
(知識、理解、解釈)
・作品に対する洞察力のある知識と理解があり、それらの意味に関して説得力のある解釈が示されていること。
・エッセイが質問に関連して使用された作品の類似点と相違点に関して洞察力のある解釈を提供していること。
Criterion B
(分析と評価)
・エッセイがテキストの特徴やより広範な作者の選択について、一貫して洞察力のある分析と説得力のある解釈を示していること。
・その特徴や選択が作品の意味にどのように貢献するかについて非常に優れた評価があること。
・ 選ばれた作品における著者の選択の非常に良い比較と対比があること。
Criterion C
(焦点と構成)
・エッセイが課題に対して明確で持続的な焦点を保ち、作品の扱いのバランスが良いこと。
・アイデアの展開が論理的で説得力があり、アイデアが筋道を持ってつながっていること。
Criterion D
(言語)
・言語が非常に明確で効果的であり、注意深く選ばれており、文法、語彙、文章構成において高い精度があること。
・文章やスタイルも課題に効果的かつ適切であること。

僕はこの試験を受けていないので詳しい内容について現段階ではわかりません。

また、テストに関する情報が分かったら追加していきます。

HL 小論文の特徴

HL 小論文は、その名の通り HL 生のみが行うものです。

HL 小論文
評価物内容授業で扱ったテクストについての小論文
字数4000字以内
点数(満点)20点
比重25%

HL 小論文は外部評価ですが、Paper1や Paper2のように決められた時間内に行う試験の形ではなく、IA のように授業外の時間に自分自身で執筆する課題です。

HL 小論文では授業で扱ったテクストを選択し、文学的、言語学的な観点に着目した小論文を執筆します。

HL 小論文の評価項目はこんな感じです。

Criterion A
(知識、理解、解釈)
Criterion B
(分析と評価)
Criterion C
(焦点、構成、及び展開)
Criterion D
(言語)

それぞれの評価項目について簡単に説明します。

Criterion A
(知識、理解、解釈)
・回答がテクストの文字通りの意味に対する徹底的かつ洞察力のある理解を示していること。
・テクストのより大きな意味や微妙なニュアンスについて、説得力のある洞察に基づいた解釈があること。
・テクストへの参照は適切に選ばれており、生徒のアイデアを効果的にサポートしていること。
Criterion B
(分析と評価)
・回答がテキストの特徴や作者の選択に関する洞察に富んだ分析を示していること。
・そのような特徴や選択が意味を形作る方法について非常に優れた評価があること。
Criterion C
(焦点、構成、及び展開)
・アイデアの提示が効果的に構成されており、一貫性があること。
・分析はよく焦点を絞っていること。
Criterion D
(言語)
・言語が非常に明確で効果的であり、注意深く選ばれており、文法、語彙、文章構成において高い精度があること。
・文章やスタイルも課題に効果的かつ適切であること。

個人口述の特徴

個人口述の内容は以下の通りです。

Individual Oral
試験時間15分(事前に準備可能)
試験形式口述試験
(先生と1対1)
お題授業で扱った文学作品と非文学作品に関連するグローバルイシュー
点数(満点)40点
比重SL:30%
HL:20%

個人口述は、日本語 A:言語と文学 の試験で最も緊張する試験だと思います。

しかし、事前に話す内容について資料を用意してそれを本番に持ち込むことができるので、しっかりと準備をすれば大丈夫です。

本番に持ち込める資料は全部で3つあります

  • 非文学作品の画像
  • 文学作品の抜粋部分のコピー
  • 発表内容のメモ

非文学作品と文学作品はどちらも授業で扱ったものから選ばなければいけません

これらを選択するときには、二つの間に共通のグローバルイシューが関連している必要があります。

僕は「男女格差」というグローバルイシューを取り上げ、それを訴えかける広告(非文学テクスト)と授業で扱った文学作品の中からこのグローバルイシューが顕著に表れている文章を抜粋しました。

文学作品から抜粋できる量には制限があるので、先生に確認してみてください。(最大40行とか)

発表内容のメモは、有効活用することで試験の難易度が大きく下がるのでとても大切です。

メモできる内容は3つあります

  • グローバルな問題に関する情報
  • 選択したテクストに関する情報
  • 発表内容に関するメモ

取り上げたグローバルイシューに関する背景情報、選択した非文学/文学作品に関する基本情報をメモできます。

発表内容に関するメモは、箇条書きで10項目までと指定があります

このメモを見ながら10分間の発表を行います。

その後5分間は先生からの初見の質問に答えなければいけません。

そのため、メモした内容以外の知識も多少は頭に入れておく必要があるかもしれません。

個人口述の評価項目はこんな感じです。

Criterion A
(知識、理解、解釈)
Criterion B
(分析と評価)
Criterion C
(焦点と構成)
Criterion D
(言語)
1~21~21~21~2
3~43~43~43~4
5~65~65~65~6
7~87~87~87~8
9~109~109~109~10

各評価項目で求められるものは基本的にほかの 日本語 A:言語と文学 の試験と同じです。

それぞれの評価項目について簡単に説明します。

Criterion A
(理解と解釈)
・受験者は、抜粋と作品/テクストに関する優れた知識と理解を示し、それらの意味に関する説得力のある解釈を提供していること。
・抜粋と作品/テクストへの参照は適切に選ばれ、受験者のアイデアを効果的にサポートしていること。
Criterion B
(分析と評価)
・抜粋とその作品/テクストの分析と評価に関連性があり、洞察に富んでいること。
・作者の選択がいかにグローバルな問題を提示するために使用されるかについて、徹底的で微妙な理解があること。
Criterion C
(焦点と構成)
・口述が課題に対して明確かつ持続的な焦点を保つこと。
・抜粋や作品/テクストの取り扱いのバランスが取れていること。
・アイデアの展開が論理的で説得力があり、アイデアにつながりがあること。
Criterion D
(言語)
・言語が明確で正確であり、多様であること。(時折の誤りがコミュニケーションを妨げない)
・語彙と文法が多様で、効果的であること。
・スタイルの要素(例えば、声域、トーン、修辞技法)が課題に適切であり、口述発表を向上させていること。

個人口述に向けた準備についてこちらの記事で説明しているのでぜひ確認してみてください!

最後に

これで 日本語 A:言語と文学 の科目内容、評価について大切なところはすべて説明しました。

今後、それぞれのテストに応じた勉強方法や点数を伸ばすコツについても記事を書いていくのでその時は確認してみてください!

では、また別の記事でお会いしましょう!

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