みなさんは国際バカロレア(IB)について最近よく聞くと感じますでしょうか?
少なからずこのページを訪れてくれたあなたは、一度は聞いたことがあるでしょう。
IB とは一種の教育制度の事であり、日本ではまだ新しいものです。
今後世界的な活躍を目指す人にとってこの IB 教育というのは絶好の選択であると僕は考えます!
しかし、IB は少し複雑でどのようなプログラムであるか理解するのが難しい点があります。
その悩みを僕に解決させてください!
このページでは僕自身の主観的な解釈も交えながら、国際バカロレア(IB)教育について誰でも簡単に理解できるように説明していきます!
最近よく聞く国際バカロレア(IB)って何?
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はじめに、国際バカロレア(IB)に関する正式な説明は文部科学省が以下のようにしています。
国際バカロレア機構(本部ジュネーブ)が提供する国際的な教育プログラム。
引用元:IBとは – 文部科学省IB教育推進コンソーシアム
国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)は、1968年、チャレンジに満ちた総合的な教育プログラムとして、世界の複雑さを理解して、そのことに対処できる生徒を育成し、生徒に対し、未来へ責任ある行動をとるための態度とスキルを身に付けさせるとともに、国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)を与え、大学進学へのルートを確保することを目的として設置されました。
現在、認定校に対する共通カリキュラムの作成や、世界共通の国際バカロレア試験、国際バカロレア資格の授与等を実施しています。
また、IB が目指す教育プログラム(IB の使命)についても以下のような説明があります。
「国際バカロレア(IB)は、多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、より良い、より平和な世界を築くことに貢献する、探究心、知識、思いやりに富んだ若者の育成を目的としています。
引用元:IBとは – 文部科学省IB教育推進コンソーシアム
この目的のため、IBは、学校や政府、国際機関と協力しながら、チャレンジに満ちた国際教育プログラムと厳格な評価の仕組みの開発に取り組んでいます。
IBのプログラムは、世界各地で学ぶ児童生徒に、人がもつ違いを違いとして理解し、自分と異なる考えの人々にもそれぞれの正しさがあり得ると認めることのできる人として、積極的に、そして共感する心をもって生涯にわたって学び続けるよう働きかけています。」
はい、最初にこれを読んでも難しいと感じる方が多いと思います。
僕自身も最初はこの説明を読んで IB について理解することはできませんでした。
そこで、押さえておくべき2つのポイントを簡単に紹介します。
ではもう少しこれら2つのポイントを掘り下げていきましょう。
国際的に認められる資格を得られる
まず、国際的に有利とはどのようなことでしょうか?
これは簡単に言えば海外大学に進学しやすいということです。
ここで注意が必要なのは IB の中には年齢に応じた異なる種類のプログラムがあります。
3~12歳:PYP (Primary Years Programme)
11~16歳:MYP (Middle Years Programme)
16~19歳:DP (Diploma Programme), CP (Career-related Program)
この中で最もポピュラーと言えるのが僕も学んだ DP コースです。
そしてこの DP コースで得られるディプロマが海外大学へのチケットとなり得るのです!
そんなことはありません!
IB に入ったからと言って必ずしも国外に行く必要があるわけではありません。
僕自身最初に IB に入った時は国内大学に進学するつもりで入りましたし、実際に僕のクラスメイト、先輩の中にも国内のトップ校に進学している人はいます!
IB 生には目指すべき人物像がある
先ほど挙げた IB の使命には生徒の人としての在り方について記載されていましたが、それらを最もわかりやすく提示しているのが IB の10の学習者像です。
IB 生は以下の10個のスキルを身に着けた人物像を目指します。
- 探求する人
- 知識のある人
- 考える人
- コミュニケーションができる人
- 信念を持つ人
- 心を開く人
- 思いやりのある人
- 挑戦する人
- バランスの取れた人
- 振り返りができる人
実際にはもっと具体的にこれら学習者像の説明があるのですが、ざっくりとこのような力を身に着けた生徒の育成を重視しているということだけでも覚えておくといいです。
さらに、もうひとつApproaches to Learning(ATL)スキルというものがあります。
ATL スキルは5つあります。
- 思考スキル
- コミュニケーションスキル
- 社会性スキル
- 自己管理スキル
- リサーチスキル
これらも学習者像と同様に、IB において大切にするべきスキルであると覚えておくといいでしょう。
どうでしょうか?自分が当てはまると感じる項目はありますでしょうか?
これらはどれも将来社会で活躍するうえで重要な人物像とスキルです。
IB での学びは自分をこれらを兼ね備えた人物として確実に成長させてくれるでしょう。
IB教育って一般的な教育と何が違う?
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では一般的な日本の教育と IB 教育は何が違うのでしょうか?
ここまでの説明で IB が国際的に有利であるということと特定の人物像を目指すということはわかったと思います。
そして、ここからは自分の経験をもとに、主観的な考えを共有していきます。
主に次の3つの点を紹介したいと思います。
主体性ある授業
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皆さんの中には教師から一方的に知識を伝達されるといった授業を受けてきた人が多いと思います。
僕も高校1年生までほぼすべての授業が板書をとるだけでした。
(もちろんこの授業によって学べだことも多くあります)
しかし、IB の授業は違います!
IB といえば生徒の主体性と言っても過言ではないでしょう。
ではどのような場面で主体性が発揮されたのか、2つの場面を紹介します。
ディスカッション形式の授業
IB の授業は決して板書を取るだけでは終わりません。
ほぼ毎授業、生徒同士での活発な議論が行われます。
そして、この意見交換によって自分の考えをアウトプットすることができ、同時に自分にはない新しい視点からの考えを共有してもらうことができます。
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特に印象に残っているのは、僕が専攻していた物理や化学の実験です
自分たちで実験方法を決定して行うものもありました。
独自の興味の追求
最初にこれを実感したのが IB の科目選択です。
IB では自分の好きなように科目とその難易度を選択することができます。
そして、もう一つが IB 科目の中で求められる Internal Assessment (IA)という個人研究レポートです。
IA では自分の探求したい話題について、自分一人で調査して一つのレポートにまとめます。
特に物理、化学、生物などの科目においては、自分自身で実験を組み立て、データを採取する必要があります。
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僕は物理の IA では「水溶液の密度と屈折率の関係」、化学の IA では「アルコール別の燃焼エンタルピー」という話題についてレポートを書きました。
この際も自分自身で調査して実験を組み立てる必要があります。
課外活動
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IB の中でもう一つの大きな特徴と言えるのが課外活動です。
IB では課外活動を CAS(3つの言葉の頭文字をとったもの)と呼び、生徒全員がディプロマ取得のために行う必要があります。
これは日本の一般的な高校教育と大きく異なる点です。
Creativity(創造性) | 絵、楽器の練習、パワーポイント作成、etc. |
Activity(活動) | 運動部に参加、筋トレ、ストレッチ、etc. |
Service(奉仕) | ボランティア、外国人児童の学習支援、IBの情報共有、etc. |
現在では明確な CAS を行う時間に関する必要条件はありませんが、これら3つの項目をバランスよく行うことが推奨されます。(理想は各50時間ずつ)
上記の例はあくまでも簡単な例であり、生徒は自分の興味ある課外活動に取り組むことができます。
そのため、CAS は大変というよりも勉強の息抜きとしてや一つの楽しみとして行えるものです。
海外大学(特にアメリカの大学)に出願する際に学生時代に行った課外活動はとても重視されます。
CAS が IB ディプロマ取得のために必要であることは生徒が課外活動を積む良いきっかけとなり、海外大学への進学を手助けしてくれます。
IB 科目の特徴と評価方法
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IB 教育と一般的な日本の学校の評価方法で最も大きく異なる点が、IB の科目の成績が7段階評価である点でしょう。
そして、IB では科目を6つまで選択します。
Higher Level (HL) の科目を3~4つ、Standard Level (SL) の科目を2~3つ選択します。
ちなみに僕の場合は、
Group 1 | 日本語 A 言語と文学 SL |
Group 2 | English B SL |
Group 3 | Environmental System and Society (ESS) SL |
Group 4 | 数学 AA (解析とアプローチ) HL |
Group 5 | 物理 HL |
Group 6 | 化学 HL |
といった科目選択を行いました。
このほかにも、僕の学校では
- 歴史
- 生物
- Economics
- Film
- Math(英語で行う数学)
などの選択肢がありました。
HL は SL の内容に加えて発展内容も学習するため、学習範囲が広く授業数も多いです。
これら6つの科目全部で7点を獲得した場合、これで合計42点です。
これが少し複雑です。
残りの3点はボーナスポイントと呼ばれており、Extended Essay (EE) という課題論文と Theory of Knowledge (TOK) という授業の二つによって獲得できます。
これら二つの評価に限っては7段階ではなく、A~E のアルファベットで表されます。
そして二つの評価の組み合わせによってもらえるボーナスポイントが変わってきます。
評価 | A | B | C | D | E |
A | 3 | 3 | 2 | 2 | 落第 |
B | 3 | 2 | 2 | 1 | 落第 |
C | 2 | 2 | 1 | 0 | 落第 |
D | 2 | 1 | 0 | 0 | 落第 |
E | 落第 | 落第 | 落第 | 落第 | 落第 |
そして、IB には2種類の評価方法があります。
内部評価は、一度学校側で採点し、それをIB 本部に送って確認してもらうことで正式な評価がつきます。
外部評価は、最終試験に当たるもので、試験の解答がIB 本部が直接採点することで評価がつけられます。
内部評価と外部評価の点数の割合は科目によっても異なるのですが、
だいたい内部評価が20~30%、外部評価が70~80%といった感じです。
IB ディプロマ取得に必要な4つの条件
IB の評価の仕組みが分かったところで、大切な IB ディプロマ獲得に必要な基準を説明します。
合格には4つの基準を満たす必要があります。
このうち一つでも達成できなかった場合は IB のディプロマが獲得できません。
このように感じた人もいるのではないでしょうか。
しかし、そこまで心配する必要はありません。
最終スコア24点以上、HL科目の合計点13点以上は真面目に授業を受ければ大丈夫だと思います。
CASに関しては現在必要とされる時間が明確に定まっていないので、とにかく全くやらないということはないようにしましょう。
個人的に、注意するべきは EE と TOK だと思います。
EE、TOK で E 評価を獲得する理由というのは未提出や剽窃などの不正です。
誠実に取り組めば基本的には大丈夫だと思ってもらっていいですが、一つのミスによって危ない状況になってしまいかねません。
決して意図がなかったとしても、参考文献の書き忘れによって疑われてしまうかもしれませんし、提出が遅れてしまったら評価してもらえなくなってしまうかもしれません。
そのようなもったいないことがないように注意しましょう!
IBのメリット・デメリット
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最後に IB 教育を受けるメリットとデメリットを説明します。(あくまでも僕個人の見解です)
簡単にまとめるとこんな感じです。
メリット | デメリット |
---|---|
海外大学へ進学しやすい | 英語力が必要 |
多様な経験を積める | 課題が忙しい |
実践的なスキルが習得できる | まだ日本で新しい |
しかし、個人的にはメリットの方が大きいとも思います。
メリットは大きい
上記の3つのメリットはこの記事全体を通して説明した IB の特徴からも想像できると思います。
そのため、各メリットについてはここで簡単にまとめます。
海外大学へ進学しやすい
IB のディプロマの取得を海外大学は高く評価してくれます。
それも、40点以上取れたりした場合は海外のトップ校も選択肢のうちになります。
また、IB では誰しもが課外活動を行う必要があり、そこでの経験は海外大学に出願する際の良いエッセイのネタになりますし、とても高く評価してくれます。
海外大学が好むこれらの要素を IB では得ることができるのです!
そして、外国語の習得も重視する IB 教育は、海外へ行く際に必要となる言語面の力も身につけさせてくれます。
国内大学と海外大学で迷っている方も、IBで学べば選択肢が広がります。
多様な経験を積める
IB の主体性を重視する授業や課外活動は全く新しい経験と学びを与えてくれます。
IA や EE などの、自分の興味を探求し論文にまとめる機会は自分にとって初めての経験でとても大きな学びを得られたと感じます。
また、課外活動も普段であればやらなかった、できなかったことに挑戦することで自分の成長につながりました。
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僕は、在日外国人の学習支援や地元の活性化を目的とした都市開発案の提案など、普通であれば行うことのなかった活動に挑戦しました。
IB での2年間は多くの学びを感じられる濃い期間になると思います。
ぜひ、新しいことにたくさん挑戦してみてください。
実践的なスキルを習得できる
これは「多様な経験を積める」という点と関わってきます。
先ほど、IB の特徴でも挙げた10の学習者像とATL スキルがまさに僕のいう実践的スキルの事です。
これらの人としての姿勢、スキルは今後社会の一員として活躍していくために必要不可欠な力です。
そしてこれらは IB の授業や課外活動を通して身に着けることができます。
例えば、
たくさんの課題をこなしながらテストに備える時などには自己管理スキルを成長させられるかもしれません。
ディスカッション形式の授業ではコミュニケーションスキルを磨けるかもしれないです。
課外活動を行う中で新たなことに挑戦する姿勢を得られるかもしれないです。
このように、IB には自分を数段階成長させてくれる機会を与えてくれます。
デメリットは解消できる
僕の考えでは取り上げたデメリットはそこまで大きな問題ではないと考えます。
その理由もしっかりあります。
英語力が必要
確かに IB では英語で行われる科目がいくつかあります。
そして6科目中2科目は英語で行われるものを履修する必要があります。
しかし、そのうちの一つは English B です。
English B ではもちろん英語を勉強します。
IB の特徴として取り上げた主体性のある授業のおかげで自然と授業内である程度の英語力は身についていきます。
英語が苦手だと思う方はHLより簡単な SL を履修すれば良い点数を狙えるでしょう。
もう一つの英語科目(ESSやEconomics)については、授業を英語で受けて覚えるというのは難しいかもしれません。
これも徐々に英語力を身に着けて、授業に慣れていくしかありません。
でも、多くの人がそのようにして学び、最終試験に臨んで結果を出しています。
ならあなたにもできるはずです!
そして何よりも、ESS や Economics などの試験は辞書の持ち込みが OK なので、英語に困ったときは辞書をひくことができます!
補足として、海外大学を目指す人がほぼ必ず通る道が TOEFL や IELTS といった英語の試験です。
このように、海外大学を目指すうえで自然と英語を勉強する環境に置かれると思います。
2年間のプログラムの中で徐々に成長を続ければ最終試験までに高得点がとれるようになることでしょう。
課題が忙しい
IB では IA、IO(個人口述)、EE、TOK エッセイなど、成績に大きく関わる課題がたくさん出されます。
本当に忙しくなります。
しかし、これは忙しさの先取りだと考えてください。
だって、IB ディプロマを獲得したら共通テストを受ける必要もなく(人によります)、海外大学が決まれば卒業する3月から9月まで自由な時間ができるんですよ。
実際11月に IB の最終試験が終わったときは本当に解放された気分でした。
(自分は出願校の数が多かったので結局2月まで大学出願に追われましたが)
IB は高校生活を頑張ることで後から自由が得られる、報われる教育です!
まだ日本で新しい
IB は日本で導入されて間もないため、学校によっては IB のカリキュラムに教師が慣れていないことがあります。
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僕も自分の学校では IB の4期生であり、最終試験の2週間前なのにあと2章分の範囲が残っているといった危機的な状況を経験しました。
しかし、徐々にそれらも改善されてくると思います。
皆さんが IB に入るときには自分の時よりも科目選択の幅が広がったり、授業の質も高まっていると思います。
また、もし仮に僕の経験したような危機的状況に追い込まれても気合で乗り越えることができます。
早い段階で「進みが遅いなー」と感じたりしたら早めに手を打って、自分で勉強を進めるのもありです。
まとめ
とにかく、今回皆さんに知ってもらいたいのは、
IB は海外大学を目指す人には特におすすめで、
授業や課外活動で今までにない経験ができます。
そして、そこで学べる知識やスキルは必ず将来自分のためになります。
本記事は IB がどのようなものか皆さんが簡単に想像できるようにするため、個人的に重要だと感じる点や個人の経験を含む点があります。
より詳しい情報を知りたいという方は他にも多くの情報提供を行っているサイトがあるのでぜひそちらもご確認ください。
また別の記事でお会いしましょう!
「ディプロマを取得するための必要条件が多くて難しそう」