本ページでは IB 化学 の科目内容と内部評価、外部評価について超わかりやすく解説していきます。
この記事を読めば誰でも IB 化学 で何を学び、評価がどのようにして決まるのか、何に向けて対策すればいいのかが分かります。
また、IB 化学 の科目内容は SL と HL で少し異なるので、その違いについても簡単に説明していきます。
ぜひ最後まで読んでみてください!
新しいシラバスに基づいた授業内容や試験内容についてはこちらを確認してみてください!
IB 化学 で学ぶこと
化学で扱う教科書には全部で21個の単元があります。
SL、HL 共通 | 1 | Stoichiometric Relationships(化学量論的関係性) |
2 | Atomic Structure(原子の構造) | |
3 | Periodicity(元素の周期性) | |
4 | Chemical Bonding and Structure(化学結合と構造) | |
5 | Energetics / Thermochemistry(エネルギー論と熱化学) | |
6 | Chemical Kinetics(化学反応速度論) | |
7 | Equilibrium(化学平衡) | |
8 | Acids and Bases(酸と塩基) | |
9 | Redox Processes(酸化還元反応) | |
10 | Organic Chemistry(有機化学) | |
11 | Measurement and Data Processing(計測とデータ処理) |
HL のみ | 12 | Atomic Structure(原子の構造) |
13 | The Periodic Table – The Transition Metals (周期表ー遷移金属) | |
14 | Chemical Bonding and Structure(化学結合と構造) | |
15 | Energetics and Thermochemistry(エネルギー論と熱化学) | |
16 | Chemical Kinetics(化学反応速度論) | |
17 | Equilibrium(化学平衡) | |
18 | Acids and Bases(酸と塩基) | |
19 | Redox Processes(酸化還元反応) | |
20 | Organic Chemistry(有機化学) | |
21 | Measurement and Analysis(計測と分析) |
HL のみが受講する授業の内容は基本的に、1~11章の単元の発展事項となっています。
この単元の中で、1~3章までは高校1年生までに学習した内容と同じものが多いです。
それ以降は新しい内容ばっかりで最初は苦労する人がほとんどだと思います。
僕は 化学 HL を受講していたのですが、はじめは完全に諦めモードでした。(なにも理解できない)
しかし、練習問題を解いたり、授業のプリントを見直すうちにみるみる身についていき、最終的には一番得意な科目になりました。
この科目は、各単元のつながりが強く、一回理解できればどんどん知識が身についていくので、はじめからあきらめてしまうのはとてももったいない科目です。
また、これら21個の単元に加えて、SL と HL のどちらも以下の4つの選択項目から2つを選択して学びます。
Option A | Materials(材料科学) |
Option B | Biochemistry(生化学) |
Option C | Energy(エネルギー) |
Option D | Medicinal Chemistry(医薬品化学) |
この選択項目は、学校側が決める場合もありますし、生徒が選択できる場合もあります。
選択項目に関する方針は学校によって異なると思いますので、自分たちの先生に直接伺ってみてください。
一般の高校化学とは違う特徴
IB 化学 では一般の高校教育とは学ぶ内容が異なる点があります。(例:有機化学)
また、IB 化学 では関数電卓を用いることができます。
IB の理系科目では関数電卓を用いることが許されています。
テストでも計算はほとんど電卓を用いるため、使い方はしっかりと身に着けておく必要があります。
関数電卓の使い方は IB 数学 の授業で習うため心配する必要はありません。
そして、IB 化学 の一番の特徴はデータブックレットです。
データブックレットとは資料集です。
計算に必要な定数や公式がすべて記載されている最強の冊子です。
いままでの(IB 以前の)学習では、定数や公式を毎回覚えてテストに臨む必要があったと思います。
しかし、IB 化学 ではこのデータブックレットがテスト時に配布され、活用することが許されています!
とても便利な冊子ですが、問題を解く上での筋道が分からないと使うこともできないので、問題を理解し解く方法が分かるように勉強することはもちろん必要です。
IB 化学 での評価
IB 化学 の成績は3つの外部評価と1つの内部評価で決まります。
外部評価 | Paper1 |
Paper2 | |
Paper3 | |
内部評価 | Internal Assessment |
以降はこれら4つの特徴と点数の比重について解説します。
僕が IB 化学の最終試験に向けて行なった対策についてはこちらの記事で紹介しているのでぜひ確認してみてください!
Paper1の特徴
IB 化学 の Paper1の試験内容は以下の通りです。
Paper1 | |
---|---|
試験時間 | SL:45分 HL:1時間 |
試験形式 | SL:4択の選択問題 × 30 HL:4択の選択問題 × 40 |
点数(満点) | SL:30点 HL:40点 |
比重 | 20% |
電卓 | 使用不可 |
データブックレット | 使用不可 |
SL と HL では試験時間、問題数、点数が異なりますが、問題の出題形式は同じです。
この試験ではデータブックレットと電卓が使用できませんが、それは逆にいえば、問題がそれらを必要としないくらい単純なものだということです。
しかも、選択問題のため多少は気楽に受けられると思います。
この試験で注意するべき点は時間配分です。
一つの問題を約1分以内で解くくらいのペースがいいと思います。(これくらいであれば見直しの時間も取れます)
Paper2の特徴
Paper2の試験内容は以下の通りです。
Paper2 | |
---|---|
試験時間 | SL:1時間15分 HL:2時間15分 |
試験形式 | 記述・計算問題など |
点数(満点) | SL:50点 HL:90点 |
比重 | SL:40% HL:36% |
電卓 | 使用可 |
データブックレット | 使用可 |
Paper2は様々な種類の問題が出題されます。
用語や現象について説明する記述問題も出題されます。
関数電卓を用いることができるため、計算問題は必ず出題されます。
これ以外にも、化学反応式を書く問題、構造式や図を描く問題なども出題されます。
今まで授業で学んできた総合的な知識が必要となる試験ですので、しっかりと勉強して試験に臨みましょう。
また、この試験では、データブックレットと電卓の使用が許されているため、これらをうまく活用することが点数につながります。
Paper3の特徴
Paper3の試験内容は以下の通りです。
Paper3 | |
---|---|
試験時間 | SL:1時間 HL:1時間15分 |
試験形式 | 記述・計算問題 / 大問選択式(セクション B) |
セクション | A:実験・データ分析問題 B:記述問題 |
点数(満点) | SL:35点 HL:45点 |
比重 | SL:20% HL:24% |
電卓 | 使用可 |
データブックレット | 使用可 |
Paper3の試験はセクション A と B の二つのパートがあります。
セクション A では、特定の実験と関連する実験データが提示されます。
それらに基づいて問題が出題されます。
問題はデータの分析や実験方法に関する問が中心に出題されるそうです。
セクション B では、4つの大問が選択肢として挙げられます。
この4つの大問は、先ほど説明した IB 化学 での4つの選択科目、
Option A | Materials(材料科学) |
Option B | Biochemistry(生化学) |
Option C | Energy(エネルギー) |
Option D | Medicinal Chemistry(医薬品化学) |
に関連したものです。
4つの問題とも Paper2に近い問題形式です。
Internal Assessment の特徴
Internal Assessment(IA)の最終スコアでの比重は SL、HL のどちらも20%です。
IB 化学の IA では、身近な問題や疑問について自分で実験を組み立てて探求します。
自分でテーマを考えて、実験まで組み立てないといけないとなるととても難しいです。
しかし、IA は必ずしも完全オリジナルである必要はありません。
少しでもオリジナリティのある研究であれば大丈夫です。
そのため、IA のテーマが決まらないときは、ネット上にある実験を参考にして、そこに少し独自性を加えるという方法でも OK です。
僕自身も、面白そうな実験をネット上で探して、それをもとに IA の研究を行いました。
僕は、「アルコールの炭素数と熱力学的特徴の関係」というテーマで行いました。
IA の評価項目はこんな感じです。(理科系 IA の評価項目は全て統一です)
Personal Engagement | Exploration | Analysis | Evaluation | Communication |
---|---|---|---|---|
0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
1 | 1~2 | 1~2 | 1~2 | 1~2 |
2 | 3~4 | 3~4 | 3~4 | 3~4 |
5~6 | 5~6 | 5~6 |
それぞれの評価項目について簡単に説明します。
Personal Engagement | ・個人的な関与の証拠があり、独自の思考、主導性、または創造性があること。 ・研究のリサーチクエスチョン(RQ)や調査対象を選択する理由には、個人的な意義、興味、好奇心が示されていること。 ・研究の設計、実施、プレゼンテーションにおいて、個人的な貢献と主導性の証拠があること。 |
Exploration | ・研究のテーマが明確に示されており、関連性があり、完全に焦点を絞った RQ が明確に説明されていること。 ・研究の背景情報が完全に適切で関連性があり、調査の文脈を理解するのに役立つこと。 ・研究の方法論が非常に適切であり、収集されたデータの関連性、信頼性、十分性に影響を与える可能性のあるすべてまたはほとんどの重要な要素を考慮していること。 ・レポートに、調査の方法論に関連する重要な安全性、倫理、環境問題への完全な認識の証拠が示されていること。 |
Analysis | ・レポートには、RQ に対して詳細で妥当な結論を支持するために十分な関連性のある定量的および定性的な生データが含まれていること。 ・適切かつ十分なデータ処理が行われ、RQ に対する結論を導くために必要な正確性が保たれていること。 ・レポートには、分析における測定不確かさの影響を十分かつ適切に考慮した証拠が示されていること。 ・処理されたデータが正しく解釈され、RQ に対する完全に妥当で詳細な結論が導かれていること。 |
Evaluation | ・提案された詳細な結論は、RQ に完全に関連し、提示されたデータによって完全にサポートされている。 ・結論は、受け入れられた科学的な文脈との適切な比較を通じて正しく説明され、正当化されている。 ・研究の強みと弱点、データの制限、誤差の要因などが議論されており、結論を確立するための方法論的な問題に関する明確な理解の証拠となっている。 ・生徒は、研究の改善や拡張について現実的で関連性のある提案を議論している。 |
Communication | ・研究の提示が明確であり、エラーが焦点、プロセス、結果の理解を妨げないこと。 ・レポートが適切に構成されており、必要な情報が焦点、プロセス、結果に関して明確に提示されていること。 ・レポートが関連性があり、簡潔であり、焦点、プロセス、結果の理解を容易にすること。 ・科目固有の専門用語や慣例の使用が適切で正確であり、エラーが理解を妨げないこと。 |
IA の前にはガイダンスが行われることがほとんどだと思います。
そこで、より分かりやすく日本語で説明された評価基準も渡されると思うので、そちらを読むことが大切です。
また、IB で扱う化学の教科書にもこの評価項目についての説明が載っているのでぜひ確認してみてください。
化学 IA などの理科系科目のレポートにおいて大切な誤差評価についてこちらで説明しているのでぜひ読んでみてください!
最後に
これで IB 化学 の科目内容、評価について大切なところはすべて説明しました。
今後、それぞれのテストに応じた勉強方法や点数を伸ばすコツについても記事を書いていくのでその時は確認してみてください!
では、また別の記事でお会いしましょう!