本ページでは IB 数学 AA(解析とアプローチ)の科目内容と内部評価、外部評価について超わかりやすく解説していきます。
この記事を読めば誰でも 数学 AA で何を学び、評価がどのようにして決まるのか、何に向けて対策すればいいのかが分かります。
また、数学 AA の科目内容は SL と HL で少し異なるので、その違いについても簡単に説明していきます。
ぜひ最後まで読んでみてください!
数学 AA で学ぶこと
数学 AA では、今までの高校数学と同じように数多くの単元を扱います。
中には一般の高校教育では習わないような内容もあります。
IB 数学で扱う教科書には全部で16個の単元があります。
HL は全て SL は HL より少ない | 1 | Algebra and Function Basics(代数と関数の基礎) |
2 | Functions(関数) | |
3 | Sequences and Series(数列と級数) | |
4 | Exponential and Logarithmic Functions(指数関数と対数関数) | |
5 | Proofs(証明) | |
6 | Trigonometric Functions and Equations(三角関数と方程式) | |
7 | Geometry and Trigonometry(幾何と三角法) | |
8 | Complex Numbers(複素数) | |
9 | Vectors, Lines, and Planes(ベクトル、直線、平面) | |
10 | Statistics(統計) | |
11 | Probability(確率) | |
12 | Differential Calculus1(微分1) | |
13 | Differential Calculus2(微分2) | |
14 | Integral Calculus(積分1) | |
15 | Probability Distributions(確率分布) | |
16 | Integral Calculus2(積分2) |
僕は 数学 AA HL を受講していたため、IB の2年間でこれらすべての章を勉強しました。
しかし、SL 生は HL に比べて勉強する単元数は少ないです。
数学が苦手という方は HL よりも SL を受講したほうが負担が小さく良いです。
どの単元もテストで出題されるため大切なのですが、中でも授業内で最も学ぶ時間が長いと感じたのが微積分です。
微分と積分のみ、それぞれ2章ずつあることからも、授業内でこれらを扱うことがとても多いことが分かると思います。
一般の高校数学とは違う特徴
数学 AA では一般の高校教育では学ばないような内容についても少し触れることがあるのですが、もう一つの大きな特徴が関数電卓を用いることです。
IB の数学では関数電卓が使えなければ何もできません。
関数電卓の使い方は授業の中で学んでいきます。
電卓を購入した際に説明書が同封されているのですが、全部英語のためあまり頼りになりません。
また、電卓内の言語設定も英語のため、授業で活用する中で覚えていく必要があります。
しかし、そこまで心配する必要はありません。
使っていくうちに簡単に扱えるようになりますし、うまく使えるようになった時には自分の計算を手伝ってくれる最強の味方になってくれます。
そして、この電卓*は最終試験(Paper2と Paper3)で使うこともできます!
*試験で用いるときは一部機能に制限がかけられます
さらに、IB 数学では公式集を使うことができます。
公式集には、その名の通り授業で学んできた公式がすべて載っています。
そして、これも試験時に配布され、使用することができます!
今まで(IB 以前)であれば、テストの前に必死に公式を覚える必要があったものの、公式集がその必要はありません。
公式集をうまく使いこなせれば間違いなく点数を伸ばすことができます。
しかし、個人的には、公式集を用いらずとも計算できるようにしておくのがいいと思います。
僕自身、最終試験では公式集はほとんど開きませんでした。(公式集を開いて公式を探す時間を削減するため)
公式集はとても便利ですが、自分の中にも知識として公式を覚えておくことが大切です。
数学 AA での評価
数学 AA の成績は
SLの場合2つの外部評価と1つの内部評価
HLの場合3つの外部評価と1つの内部評価
で決まります。
外部評価 | Paper1 |
Paper2 | |
Paper3(HL のみ) | |
内部評価 | Internal Assessment |
以降はこれら4つの特徴と点数の比重について解説します。
僕が IB 数学 AA の最終試験に向けて行なった対策についてはこちらの記事で紹介しているのでぜひ確認してみてください!
Paper1の特徴
数学 AA の Paper1の試験内容は以下の通りです。
Paper1 | |
---|---|
試験時間 | SL:1時間30分 HL:2時間 |
試験形式 | 計算問題 |
セクション | A〜B |
大問 | SL:9題 HL:12題 |
点数(満点) | SL:80点 HL:110点 |
比重 | SL:40% HL:30% |
電卓 | 使用不可 |
数学公式集 | 使用可 |
SL と HL では試験時間、問題数、点数が異なりますが、問題の出題形式はほとんど同じです。
基本的に IB 数学の試験では大問の番号が大きくなるにつれて問題の難易度が上がっていきます。
セクション A の問題はセクション B の問題より難易度は低いです。
特にセクション A の中でも最初の方の問題は基礎的な知識でも解けるようなものです。
また、セクション A の問題の配点はセクション B の問題の配点よりも低いです。
セクション A では、一つの大問でとれる最大の点数は5~7点です。
セクション B では、一つの大問でとれる最大の点数は15~20点です。
これは、セクション B の方が一つの大問の中に細かな問題が多く含まれるからです。
そのため、もちろんセクション B の方が一つの問題を解くのに多くの時間を要します。
時間配分には十分に注意する必要があります。
IB 数学の試験では、セクション A では解答欄が問題用紙の中に設けられています。
しかし、セクション B では別に解答用紙が渡され、そこに問題を解きます。
この解答方法についても覚えておきましょう。
Paper2の特徴
Paper2の試験内容は以下の通りです。
Paper2 | |
---|---|
試験時間 | SL:1時間30分 HL:2時間 |
試験形式 | 計算問題 |
セクション | A〜B |
大問 | SL:9題 HL:12題 |
点数(満点) | SL:80点 HL:110点 |
比重 | SL:40% HL:30% |
電卓 | 使用可 |
数学公式集 | 使用可 |
Paper2は基本的な部分は Paper1と同じで、上で Paper1について説明した内容が当てはまります。
唯一の違いが関数電卓を用いることができる点です。
そのため、出題される問題も、電卓を用いなければ求められないようなものが多いです。
しかし、全体的なテストの難易度は Paper1と変わらないと思います。
結局は、問題を解く筋道さえわかってしまえば、電卓で簡単に計算できてしまうからです。
Paper3の特徴
Paper3は HL 生のみが行うものです。
Paper3の試験内容は以下の通りです。
Paper3 | |
---|---|
試験時間 | 1時間 |
試験形式 | 計算問題 |
大問 | 2題 |
点数(満点) | 55点 |
比重 | 20% |
電卓 | 使用可 |
数学公式集 | 使用可 |
この試験は 数学 AA の中で最も難しい試験だと思います。
Paper3では、授業で学んだ単元の発展内容を用いて解くような問題が出題されます。
大問は全部で2つですが、その中に細かな小問がたくさんあります。
この小問を段階的に解いていくことで、最終的に難易度の高い問いを解くことにつながります。
1時間で大問2題と考えると時間に余裕があるように思うかもしれませんが、実際には足りないと感じるくらいなので、時間配分には十分に注意する必要があります。
Paper3を解く上でのコツについてはこちらの記事でも紹介しているのでぜひ確認してみてください!
Internal Assessment の特徴
Internal Assessment(IA)の最終スコアでの比重は SL、HL のどちらも20%です。
IB 数学の IA では、身近な問題や疑問について数学を用いて探求します。
数学 IA のネタを考えるのがどの科目の IA よりも難しいと思います。
自分の中の素朴な疑問や問題意識を数学的観点から解決できないか考えてみると良いでしょう。
僕の数学 IA では、
「空間における呼吸による二酸化炭素濃度の変化と適切な換気時間の推定」
について等比数列を用いて計算しました。
IA の評価項目はこんな感じです。
A:Presentation | B:Mathematical communication | C:Personal engagement | D:Reflection | E:Use of mathematics |
---|---|---|---|---|
0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
1 | 1 | 1 | 1 | 1 |
2 | 2 | 2 | 2 | 2 |
3 | 3 | 3 | 3 | 3 |
4 | 4 | 4 | ||
5 | ||||
6 |
それぞれの評価項目について簡単に説明します。
Presentation | ・研究が論理的で、よく構成されており、簡潔であること。 |
Mathematical communication | ・数学的なコミュニケーションは関連性があり、適切であり、終始一貫していること。 |
Personal engagement | ・優れた個人的な取り組みの証拠があること。 |
Reflection | ・批判的な振り返りの充分な証拠がある。 |
Use of mathematics (SL) | ・探求された数学は、コースのレベルに適した関連性があること。 ・探求された数学は正確であること。 ・徹底した知識と理解が示されていること。 |
Use of mathematics (HL) | ・コースのレベルに相応しい関連性のある数学が使用されていること。 ・探求された数学は正確であり、洗練された厳密さを示していること。 ・徹底した知識と理解が示されていること。 |
IA の前にはガイダンスが行われることがほとんどだと思います。
そこで、より分かりやすく日本語で説明された評価基準も渡されると思うので、そちらを読むことが大切です。
また、IB で扱う数学の教科書にもこの評価項目についての説明が載っているのでぜひ確認してみてください。
最後に
これで 数学 AA の科目内容、評価について大切なところはすべて説明しました。
今後、それぞれのテストに応じた勉強方法や点数を伸ばすコツについても記事を書いていくのでその時は確認してみてください!
では、また別の記事でお会いしましょう!